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2008. 4/20 | 関の弥太っぺ 1963年。監督 山下耕作。脚本 成沢昌茂。出演 中村錦之助、十朱幸代。 | ||
時代劇の股旅もの(広い意味でやくざ映画)の名作である、この作品から上映開始です。 | |||
◆人生の特効薬。 それは、時間 |
「お小夜さん、このシャバにぁ、悲しいこと、辛えことがたくさんある。 だが、忘れるこった。忘れて日が暮れりゃ、あしたになるんだ」 |
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股旅ものの古典的名作の何度目かの映画化です。原作は、云わずと知れた長谷川伸。 東映やくざ映画時代に先立つ時代劇全盛の時代に作られたやくざ映画です。というわけで掲載しました。なお、このセリフは、原作にはなく、映画オリジナルです。 弥太郎(中村錦之助)は、川で花を摘む少女 小夜が川に落ち、流されそうになるのを助けます。 十年後、弥太郎と小夜(十朱幸代)の再会、別れのシーンのセリフです。 白い槿(むくげ)の花が咲く垣根越しに対峙する情景です。 小夜は、再会した弥太郎の素性、やくざな旅人であることを知らなかったのですが、十年前に聞いた、その同じ言葉で彼が命の恩人であることを初めて知るのでした。そしてエンドマーク。 槿の花を使ったシーン。まさに山下耕作の真骨頂です。 人生には、楽しいこと、悲しいこと、辛いこと、いろいろあります。そんな場面に出会うたびに一喜一憂してしまうのが、人間です。それを乗り越えるために、人それぞれの対処方法を持っているかもしれません。しかし、万人にいえることは、時が過ぎれば、忘れてゆくということ。 そんなふうに時間が解決してくれる、時間に解決してもらえるということを心の根幹にもっていましょう。そうすることで、生きてゆくのが楽になります。それをこの映画では、名セリフに置き換えています。 時が経ち、忘れてゆくことで、また新しい日が、新しい人生が展開する。くよくよせず前向きに生きていこう。そんなメッセージを送っています。 後年の実録シリーズに出演した、安藤昇のエッセイの中にも、ツキを呼ぶ気分のありようのひとつとして、”忘れること”が挙げられています。 安藤昇曰く、ツキを呼ぶには、いろいろな場面ごとに完結させることだといいます。 彼は、法政大学を中退した本物のやくざでした。その後、映画俳優になった変わり種です。 この時代の股旅ものでは、同じく中村錦之助の「瞼の母」 (1962年。監督 加藤泰)、「沓掛時次郎 遊侠一匹」(1966年。監督 加藤泰)も名作として有名です。両者とも、加藤泰の監督作品です。 東映やくざ路線が始まる前の時代劇から、管理人が、これだけは掲載したかったセリフを掲載しました。いかがでしょうか。 |
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