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2009. 6/15 2011.3/10修正 |
ちょうちん 1987年。監督 梶間俊一。脚本 金子正次、塙五郎。出演 陣内孝則、石田えり、渡辺正行、原田芳雄。 |
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◆やくざが兄妹の縁を 切るとき |
妹 「だって、やくざもんの妹なんか、 みんな怖がって手出しゃしないよ」 千秋「そうか・・・俺は、まだ早いって云ってるだけよ。 お前がそういう年齢になってだ、男ができたら、 俺は喜んで兄弟の縁を切ってやるよ」 |
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ちょうちん |
高倉健や鶴田浩二の時代の任侠シリーズから、菅原文太の実録シリーズへと各々の時代を生き抜いてきた東映やくざ映画もついに1970年代初めに終わりを告げます。 以降も、ときどきやくざ映画は、製作されましたが、ブームとなることはありませんでした。 しかし、1985年「竜二」のシナリオを書き、自身で主演・監督をすることで映画化を実現した金子正次が現われることでニューウェーブやくざ映画が生まれることとなります。 陣内孝則という役者、梶間俊一という監督、そして、金子正次という脚本家が新しいやくざ映画の時代を築きます。過去のようにやくざ映画が連作されることはありませんでしたが、その後、数年間、新しいタイプのやくざ映画が製作されました。そのきっかけとなったのが、本作「ちょうちん」という作品です。そして、第1作にして、傑作となりました。 そこには、ヒーローとしてのやくざは存在せず、等身大の生身の人間としてのやくざが存在しています。 彼らの口から、ついて出るセリフには、格好いいものはありません。そんな中で、少しは格好いいのが、冒頭のセリフです。 山東会のやくざ村田千秋(陣内孝則)と妹(新田恵利)が公園でブランコに乗りながら、話し合うときのものです。いま観ると、おニャン子クラブの新田恵利の拙いセリフ回しから1980年代らしさが伝わってきます。さらには、千秋の情婦役の石田えりのボディコン姿も・・・ さて、冒頭のセリフから、筆者は帰納的にまとめないといけないのですが・・・ 兄弟愛とか、親子愛とか、現代は対象を可愛がること、無償の一方的な愛を捧げるうことがすべてのような気もします。そういった時代において、縁を切るといったことも愛情である、と納得させられたしまいます。任侠では、切っても切れない兄弟の縁、兄弟盃をテーマにしていましたが、違ったかたちで見せてくれました。 そして、千秋は、仕事の仕方が認められなく、破門され、堅気になります。堅気になったときのうらぶれた姿・・・ 朝、情婦の連れ子が云います。 「おじちゃん動かないよ。死んでるよ・・・」 情婦は、そんなことは信じず、 「くすぐってごらん」、といってエンドマークになります。 「竜二」でもそうだったように、主人公は癌に冒されており、命を落としてゆきます。 ちなみにタイトルの「ちょうちん」は、 ”いつもブラブラしている”、 ”昼間は汚い染みだらけだが、夜に灯が入ると、きれいに輝く”、 ものの象徴として捉えています。 おまけは、千秋がもろ肌を脱いで語る五七調のセリフ。 バックには、音楽エヴァン・ルーリーのピアノ、生ギター、バイオリンにバンドネオンで、哀愁漂い、官能的なアップテンポのタンゴの音楽が流れます。映画的カタルシス全開です。 「さあ、御用とお急ぎでない方は、よーく見てってくれ。 背中(せな)に昇った昇り竜、両の腕(かいな)はゾロ眼の牡丹。 一天地六の賽(さい)の目を、振って散らした親不孝。 泣いてくれるなおっかさん。 親や世間に逆らって、重ねた悪事もこれまでか」 |
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