キムラ先生
「前回は、"巧遅より拙速"という話でしたが、
今回はさらに一歩進めて、できないと思ったものでも、
"ダメ元"の精神で挑戦してみることをすすめます。
やってみて、不足があったり間違いがあったりしたら、
次は足したり、逆のことをやったりすれば、成功への足掛かりとなります。
また、やってみることにより、次の一手が見えてきます。
これが5Sの醍醐味にもなります」
タカシくん
「そうです。まずは、やってみなくては・・・それが大事なんですね」
キムラ先生
「戦後の学校教育、会社教育の中で、わたしたちには減点主義のシステムが身についてきて
しまっています。上司は、さらに上司の眼を気にし、部下のミスを叩きます。
これでは、現場の人たちが委縮しないはずがありません。
間違いを許せる風土づくりができれば、現状では考えられないほど改善が進んでゆきます。
そして、その間違いをオープンにします。そういうことの積み重ねによって、
悪いことを隠さない職場ができます。ほとんどの場合、必死になって間違わないように
努力しているのに間違うこともあります。また、難しいことに挑戦する場合、
難しければ難しいほど間違う可能性が高くなります。
従って、間違いを責めると難しいことには誰も挑戦しなくなり、
結果として企業力が弱くなります」
コウ子ちゃん
「間違うことは誰にでもあること。
それを防ぐ手立てを企業は講じなければならないと思います」
キムラ先生
「そうですね、フェールセーフといった考え方が大切ですね。
先の原発の問題でも、そういった対策が講じられていたはずなのですが・・・
人知を超えたフェ−ルだったのでしょうか。
ところで、ふたりはイレクターを知っていますね」
タカシくん
「4mのパイプで、自由な長さに切って、
たくさんの種類のジョイント(パイプに付ける角の黒い継手部品)で組み立てたものです」
キムラ先生
「そうです。
これは、一度作ったものでも、さらに良くしたいという場合には、ばらしたり、追加したり、
一部をカットしたりして、結果的にイメージしたものに作り上げてゆくことが
できる優れものです。
しかも使用目的が変わった時には、ばらして使いやすいものに作り変えたり、
作業台、一人屋台、コンベアー、台車、部品シューター、工具置場、掲示版など、
ありとあらゆるものを作れます。耐荷重も見た目よりはるかに強度があります。
しかも、簡単に装着できる台車をつけることによって、作業場全体がフレキシブルになります。
イレクターは、間違いながらも試行錯誤できるので、改善力を養う道具として
広く使われています」
タカシくん
「一度作ったら終わりではないんですね」
キムラ先生
「先の原発事故についても、整理で、実践して・知って・磨く"眼力"や"決断力"が
他の案件に比べれば、各段に高く求められるものだと思います。
原発も5Sが効果的な対象となり、わからないことやわかった後の眼力や決断力などは、
やはり"巧遅より拙速"であり、間違ったことはオープンにして、表に出して正すということが、
よりいっそう要求されるのではないかと思います。
そこには究極の5Sが感じられるのですが・・・どうでしょうか」 |