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2013.11/ 5 20.余計なことはしない


















    








    


キムラ先生

「今までのトップの役割のときに、方向性と環境づくり、
 それに予算の準備は、もっとも大事なことだと話しましたが、今回は現場における注意点で、
 当たり前と考えている"余計なこと"をたくさんやっていることについて、
 触れてみたいと思います。

 栃木県足利市で全市を挙げて展開している"足利5S学校"における5S活動では、
 以下の特長を持たせています。

   1.資料は作らない。
   2.チェックシートを使わない。
   3.指摘でなく、ヒント。
   4.減点主義は、採用しない。1パーセントでも前に進めば褒める。
   5.改善前・改善後を比較しない。今の現場がすべて。
   6.できない数値化を行わない。
   7.期限を設定しない。
   8.できることから積み重ねる。いきなり困難なものに取り組まない。
   9.間違いを許す。
  10.まちじゅうをあげて、オープンにする。


 現場がスリムになっていれば、多くの紙(資料)は、不要となります。
 眼で見てわかる職場になっていれば、紙は邪魔者以外の何ものでもありません。
 また現場には文章を書くのを苦手とするひともたくさんいます。
 そのことから解放してあげると実務に集中することができます。
 ましてや苦手の資料を作成するのが目的となって、さらにそれが使われないとしたら、
 最悪の事態です。先生は、そんな例をたくさん見てきました。
 そこで、思い切ってやめてみました。すると、結果は良好です」

タカシくん
「でも企業において、記録というか、履歴は残しておかないと、まずいのではありませんか?」

キムラ先生
「会社の経理データとか、ISOで保存を義務づけられているような書類は、止むを得ませんが、
 第三者に説明するためだけの書類とか、自己満足で作成する書類といったものが対象です。
 5Sは、活動した結果が紙に現れるのでなく、現場で眼に見えるように現れます。
 そこがすばらしいところです。
 現場を見れば、一目瞭然なのに、紙の資料ではほんの一部しか表せません。
 その資料から判断するとなると、できるアクションは、その資料の範囲ということになります。
 これでは、不十分な仕事しかできません。
 使われない資料は、間違いなく余計なものです。しかもひとのやる気を削ぎます。

 もうひとつ余計なことがあります。わかりますか?」

コウ子ちゃん
「さっきも出てきた期限を設定しないといこと」

キムラ先生
「そうですね、それもありますが、すべてのことを数値化しようとすることについて、話します。

 日本は、QC活動で、すべてのことを数値評価すべきだという姿勢をとってきました。
 これが近年の評価主義へと引き継がれます。
 経理データなどは、客観的な見方をするために徹底した数値化が必要であり、活きてきますが、
 残念ながら企業活動のほとんどは数値化に適していません。
 たとえば、集団で活動していることを、どのように配分して数値化するのか、
 ひとのやる気などのメンタルな成果をどう数値で表すのか、
 数年後の将来に効果がでてくるものなど、不可能な内容があります。
 そういうムダな作業は、間違いなく企業にとって、マイナスです。
 とくにひとのマインドにとっては致命的です。

 企業活動においては、過去のものはあくまで過去のものにすぎません。
 大事なのは、これからの改善であり、変化です。
 眼の前にある現在の現場が基準であり、
 将来それをどのように変えてゆくかということが重要です。

 "余計なことをやらない"ということは、5Sの一番目の"整理"の眼力にほかならず、
 何が不要かを選別し、決断力によりそれを捨てる、ということです。
 過去の資料、自己満足・上司のための報告書、何を表しているのかわからない数値、
 第三者に見られたら恥ずかしい改善前の写真等々、思い切って捨ててみませんか。

 そして何度も繰り返して、日々の仕事の中にムダなものがないかどうかを峻別できる姿勢を
 体得しましょう。その考動が重なるたびに個人の眼力が鍛えられ、企業が磨かれてゆきます」

 
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