キムラ先生
「高度経済成長期は、作れば作るだけものが売れました。
その後の1980年代から高度経済成長に陰りが見え始めると
、
大量生産は少量生産へと移ってゆきました。顧客の要望の多様化で 多品種生産が始まり、
納期も短くなり、変種変量という大きく時期的変動を伴う生産状況に突入しました。
従って、一人のひとが多くを判断し、社内で協力体制をとらないと、
この変化の激しい社会の流れに応じられなくなってきました。
いつも全体を見て、細部との調和を図ることは要求されます。
先の東北の震災で従来からの日本の生産システムに関し、見えてきたことがあります。
何んでしょうか?」
タカシくん
「工場を日本各地に分散してリスクを図ること」
キムラ先生
「そうです。日本の生産システムは、材料、卸、工場へと、
サプライヤチェーンが構築されて機能しています。これが震災で途切れました。
これに対応するために、サプライヤチェーンにぶらさがる、生産工場などの機能を、
リスク回避のため各地に分散させ始めています。
しかし、まずは、自分の企業の社内が一体となっていれば、大きな変化にも機敏に対応できます。
企業は、時代の中でいろいろな変化にいつも遭遇します。
その変化への対応が社内一体になっていなければ、なかなかできません。
話を絞って、現場に注目してみましょう。
現場ということばは、どこかで起こったことが、すべて現れる場所ということです。
設計、資材、営業等、企業の各部門は、相互に深く関連しています。
現場で発生した問題をよく観察して、原因の糸を手繰り寄せると、
企業のあらゆるところに行き着きます。
ところが、ともすると、企業内では、現場は軽視されがちで、すべての問題を背負わされながら、
自分のところでは解決しきれずにもがいている場合が多いようです。
製造業ならば、そこで作ったものが形になって、お客さまの手元に渡ることで対価を得、
その中から利益を得ることで企業が存続するのに、その本元である現場が軽視され続ける
ということになります。
従って、そういう姿勢の企業は、当然弱くなってしまいます。
現場が弱いと強い技術力があっても、その力を表せなくなります。
逆に強い現場があれば、技術などの創造的な分野においても具現力が高まり、
両者がスパイラルアップしてさらに強くなります」
コウ子ちゃん
「現場って大切ですね」
キムラ先生
「多くの企業に見受けられるのですが、"部分最適"、"全体最適"の教育が弱いように思えます。
成果主義は、自分だけ良ければ、ということになりがちですが、
ときには、自分を犠牲にすることも必要です。かつての日本人はそうでした。
それは、日本人の長所だったのです。
その反面、相手に遠慮して、云うべきことを云わなかったり、ここぞというときに他人まかせに
したり、という短所があります。
これからの社会は、昔からもっている日本の良さをベースにしながら、
云うべきことは勇気をもって伝え、変えてゆくことが必要ではないかと思います。
5Sで改善点を見つけてゆくと、次から次へと改善個所が現れてきます。
やがて、職場間をまたぐこと、どの職場の管理なのかわからないことなどもクローズアップして
きます。そして、それを真剣に討議してゆくと、職場間のコミュニケーションも生まれます。
今回は、先生の話が長くなってしまいましたが・・・
5Sは、簡単なことに真剣に取り組むことで、全体最適の環境に つなげることができます」 |